セックスと出産のケイパビリティ禅問答

セックスの権利

現在の常識的な人権概念を書き下せば、セックスは複数人の間でなされるものであり、参加するか否かの決定権は各人にある。セックスという行為はこの決定権の行使によって実現されるものであり、「誰とでもいいからセックスする権利」などというものはない。よって「あてがえ論」は成り立たない。

障碍者のケース

障碍者にもセックスの権利はある、という議論がある。書き下すと、

  1. 人は誰しもパートナーとセックスする“権利”がある(権利でないならば補う必要はない)
  2. 障碍者はパートナー獲得のケイパビリティが低くセックスの権利を行使しにくいため、これを補うために自己意思で金とセックスを交換するセックスワーカーから買っている

となる。

問い
障碍者にもセックスの権利があるとし、のパートナー獲得のケイパビリティを補うためにセックスワーカーをあてがうのは是か非か?

“顔面障碍者”概念

一般的な障碍者にセックスワーカーをあてがうことを障碍者のケイパビリティの問題に帰着するならば、顔が悪いブサイク・ブスもまたパートナー獲得のケイパビリティが先天的に低い“顔面障碍者”として理解することが可能である。清潔感などを保ったとしても限界があり、美容整形に負けてしまう、と言った体験談には事欠かない。

問い
“顔面障碍者”のパートナー獲得のケイパビリティを補うためにセックスワーカーをあてがうのは是か非か。
問い
“顔面障碍者”のケイパビリティを補うために美容整形に公的保険を適用するのは是か非か。1
問い
パートナー形成は各人の合意によってのみ成り立つ(現在の基本的な自然法の定め)。したがって、パートナー獲得を望むならば顔、清潔感、性格、財力などで努力して魅力を増さなければならない。また、出産の最終決定権は女性にある(生物学的事実)。男性が自分の子を望んで女性に選ばれようと努力した時、所得を伸ばすよう努力したならば、相対的に女性よりも所得で上回ろうとするだろう。よって、全ての人が匿名で働き職場で性別が完全にマスクされたとしても、男性のほうが必死になるので所得が高くなるバイアスが生じる。これは是か非か。2

リプロダクティブ・ライツ

定立
女性同性愛者やシングル女性が精子バンクで精子を買い人工授精で出産することは、出産についてのケイパビリティを補う、リプロダクティブ・ライツの行使の一環である。
定立
不妊の女性が卵子バンクで卵子を買い代理母に出産してもらうのは、出産についてのケイパビリティを補う、リプロダクティブ・ライツの行使の一環である。
問い
男性同性愛者が卵子バンクで卵子を買い代理母に出産してもらうのは、出産についてのケイパビリティを補うリプロダクティブ・ライツの行使の一環か?
問い
シングル男性が卵子バンクで卵子を買い代理母に出産してもらうのは、出産についてのケイパビリティを補うリプロダクティブ・ライツの行使の一環か?

(2018/5/11)


  1. よく言ってるのはマクロンさん ↩︎

  2. よく言ってるのは島本さん ↩︎