日本型雇用を誰が殺したのか――10年目の検証
日本型雇用を誰が殺したのかはすでに10年前のエントリになるが、その中で以下のような予測を行った。
そして、この分析は、もう一つの問題を予測する。団塊世代の引退後約10年で、団塊ジュニア世代というもう一つの人口ピークが壮年に差し掛かる(人口ピークが40歳以下にもう一つ存在していて小さな末広がりピラミッドが存在しているからこそ、団塊世代の引退で2005年以降に年齢別賃金水準の上昇と平均賃金の下落が同時に起きたのである)。そのとき、年功序列型の賃金システムが1990年代と同様に温存されていたとしたら、今から10年後、再び就職氷河期とリストラの嵐が吹き荒れる可能性がある。
この予測について、約10年後の今、検証していく。
大外れ~就職氷河期
まず、目下新卒の就職状況は極めて好調であり、「氷河期が来る」という予想は外れていると言っていいでしょう。景況感はまずまず、団塊世代が退職し、中堅社員はむしろ不足気味という声が多いところです。景気は予想不能の範囲、団塊世代の退職は予測可能だったにもかかわらずデータを絞り込めていなかったゆえの失敗、最後の中堅社員の不足は「就職氷河期そのものがもたらした結果で「年功序列型の賃金システムが1990年代と同様に温存されてい」なかったということでしょう。
年功カーブのフラット化への動機は残っている、とする主張
リストラの側についてはバブル入社組が多い会社、採用を絞らなかった会社で若干同様の問題が引き起こされているようです。しかし、1990年代後半のような大規模なリストラにはならなそうな感じではあります。
- 小林 俊介 40代と50代の給与はこれからも増えない これまでが「甘すぎた」のか PRESIDENT Online 2017.11.30
- ……40代には団塊ジュニア世代が、50代にはバブル入社世代が含まれるため、人件費全体に占める割合も大きい。企業は、ボリュームゾーンを形成する雇用者の昇進を遅らせることで、人件費の削減を図っていると言えそうだ。そして同様の現象が今後も発生する蓋然性は無視できないだろう。……
過去の雇用システムは温存されていないので解決した、とする主張
- 40代前半の層が薄い」人手不足に危機感 旭化成社長 聞き手・村井七緒子 朝日新聞 2017年12月7日
- 当社では、30代後半から40代前半の層が薄くなっています。2000年前後に構造改革で採用を極端に減らしたためです。その世代が中間管理職として一番パワーをもたないといけない時代にさしかかってきました。キャリア採用もしていますが、なかなか人が集まりません。……
- (出元不明の画像)
(2018/01/02)