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第二次ブラウザ戦争が生んだ新しいUIの考え方

IEにFirefox, Chrome,  Safari, Operaが挑んだ第二次ブラウザ戦争は、GUIユーザインターフェースに様々な新しい要素を加えた。ブラウザ用に開発されたインターフェースがどうにか他のアプリケーションにも普及しないかと願うことが多いほどである。そのような、個人的に気に入っているものを、それぞれのブラウザについて列挙したい。

Internet Explorer 8

Microsoftは、IE8とOffice2007で「アクセラレータ」なるUIを搭載した。仕組みとしては、文字などを選択すると選択部分の脇にコンテキストメニュー様のポップアップツールバーが自動的に表れるというものである。これにより、文字列を選択した状態でやりたいことを迅速に行うことができる。使ってみると素晴らしいもので、慣れてくると右クリックが煩わしいものであるとさえ思えるから不思議である。文字列を選択した後に特定の方向にボタンが出ることから、マウスを動かす方向で機能が決まるコンテキスト依存マウスジェスチャに近い仕組みとも見ることができる。

この機能はIEのみならずOfficeでも実装しており、その効果は高い。この機能を活用するとメニューバーやツールバーの存在意義が非常に低くなり、プログラム作成上も、編集画面のコンポーネントにすべての機能を埋め込んでツールバーの設定を不要にできるなど、様々な効果がある。後にAdobeが公開したProject Romeでも採用されており、有用な機能と言えよう。

Firefox

Firefoxの前身であるNetscape Navigatorは、ブラウザにタブを持ち込んだことが大きな功績である。IE6のころまではこれをまねてIEコンポーネントのタブブラウザが多数登場するほどであった。Firefoxでは、拡張機能が充実し、ユーザインターフェースの拡張性が大幅に増強された。これにより、個人ごとのチューニングが容易になった。これも大きな功績であろう。

個人的にもっとも好んでいるのは、Adobe Acrobat Reader由来のドラッグしてスクロールする拡張である。私の設定では、中クリックしながらドラッグするとスクロールバー基準でスクロールするようにしている。これにより、どんな長さの文書でも、文書のどこにでも簡単に移動することができる。長大な文書ではホイールはつらい。正直にいえば、この機能はどのようなGUIアプリでも備えていてほしいと感じるものである。

Safari

ブラウザ界隈でSafariが普及させたUIとしては、検索時にダイアログを廃止し、フローティングの検索バーと自動ハイライティングを導入したことだろう。ページ内検索は極めて頻度の高い操作であり、頻度の高い操作はステップ数を少なく変化を少なくできるようにするとよいということを明白に示した。個人的には、この機能はもっと多くのソフトウェアが実装すべきものだと考えている。

Chrome

ChromeのUIで最も特徴的なのは、SDIのアプリケーションをタブで連結するという方式を発明したことにある。フルHD対応の横長大画面で作業することが多くなった昨今、Officeやグラフィックソフト、プログラム開発菅家協などでもウィンドウを2つならべることは多々ある。そのような環境下では、大きなウィンドウの中に子ウィンドウを配置するMDIよりも、ドキュメント単位でウィンドウが開くSDI形式のほうがウィンドウの上下関係を管理することが容易であるということが体感されるようになってきた。そのうえでSDIの散らばりやすさをタブで管理する方法は、かなり使い勝手が良いものであると感じる。タブをまとめるスタックの数も自由で、スタックからスタックへの移動もドラッグ一つで済むため、紙の書類に近い感覚で扱うことができる。

ただし、このような設計では、メニューバーの面積が広いと複数のスタックを作成した時に画面に占める面積が非常に広くなってしまうため、どうしてもメニューバーを小さくしなければならない。Chromeは実際にそのような設計スタイルをとっている。また、メニューバーの縮小に関しては、IEのアクセラレータと非常に相性が良く、両者が組み合わさればよりよいものになるだろう。

Opera

Operaが普及を促した機能はマウスジェスチャであろう。この機能は、特定の操作をするのにいちいちボタンやメニューを探す手間を省き、後のマルチタッチの多機能化のような使い勝手の改善をもたらした。2000年代前半のIEコンポーネントのタブブラウザは、タブ機能に加えてマウスジェスチャを売りにするものも多かったほどである。近年はタッチパネルやタッチパッドのシェアが大きくなってきたためそちらでは別の機能が必要と思われるが、いずれにしてもマウスが必要な操作系でのマウスジェスチャの使い勝手は極めて高く、もっといろいろなソフトウェアに載っていてほしいもののひとつである。